クラウドファンディング

 2023年8月19日。伊豆のとあるリゾートホテルへやってきた、幼馴染の佐野と宮田。2人は海辺の様々な場所を巡りながら、かつて失くした赤い帽子を探し始める。ここは5年前、佐野が亡き妻・凪と初めて出会い、恋に落ちた場所だった——。
第67回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門正式出品作『息を殺して』や、第74回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に正式出品されたダミアン・マニヴェルとの共同監督作『泳ぎすぎた夜』など、世界が注目する五十嵐耕平監督による待望の長編最新作『SUPER HAPPY FOREVER』。

 昨年、第71回サン・セバスチャン国際映画祭でプレミア上映された短編映画『水魚之交』を基に製作した本作にはダミアン・マニヴェルも共同プロデューサーとして参加し、ポストプロダクションをフランスで行うなど、日仏合作での製作が進められた。
短編に引き続き佐野役を『TOCKA [タスカー]』や『愛にイナズマ』、『浜の朝日の嘘つきどもと』での好演も光った佐野弘樹が、宮田役を『サボテンと海底』や「TOKYO VICE Season2」、濱口竜介監督『悪は存在しない』で強烈な印象を残した宮田佳典が務める。そして、今泉力哉監督『猫は逃げた』で注目を集め、近年では『走れない人の走り方』など話題作への出演が続く山本奈衣瑠がなぎ役を演じた。

 思いがけない出会いがもたらす幸せも、別離がもたらす悲しみも、月日とともに過ぎていく。しかし、“人生のかけがえのない瞬間”は、そんな時の流れにこそ隠れている。本作では5年前と現在という2つの時間の中で、「青春期の終わり」を迎えた人々の奇跡のようなひとときを、さりげなくも鮮やかに記録した。

2023年8月19日、伊豆にある海辺のリゾートホテルを訪れた幼馴染の佐野と宮田。まもなく閉館をするこのホテルでは、アンをはじめとしたベトナム人の従業員たちが、ひと足早く退職日を迎えようとしている。佐野は、5年前にここで出会い恋に落ちた妻・凪を最近亡くしたばかりだった。妻との思い出に固執し自暴自棄になる姿を見かねて、宮田は友人として助言をするものの、あるセミナーに傾倒している宮田の言葉は佐野には届かない。2人は少ない言葉を交わしながら、閉店した思い出のレストランや遊覧船を巡り、かつて失くした赤い帽子を探し始める。

1993年12月8日生まれ、山梨県出身。ドラマではNETFLIX「FOLLOWERS」(20)やNHK連続テレビ小説「舞い上がれ!」(22)や夜ドラ「未来の私にブッかまされる⁉」(24)にへレギュラー出演。映画の主な出演作に、主演を務めた櫛田有耶監督『焼け石と雨粒』(22)のほか、石井裕也監督『町田くんの世界』(19)、タナダユキ監督『浜の朝日の嘘つきどもと』(21)、鎌田義孝監督『TOCKA [タスカー]』(22)、石井裕也監督『愛にイナズマ』(23)、『本心』(24)など多数。

1986年9月22日生まれ、大阪府出身。2017年、劇団柿喰う客に入団。舞台へ出演する傍ら、岸善幸監督『あゝ、荒野 後編』をはじめとした映画や、ドラマ「宮本から君へ」(18)、NHK連続ドラマ小説「まんぷく」(18)などへと活動の幅を拡げていく。近年の出演作に、主演を務めた藤本楓監督『サボテンと海底』(22)や、WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」(23)、濱口竜介監督『悪は存在しない』(23)、池田健太監督『STRANGERS』(11月2日公開)など。

1993年11月12日生まれ、東京都出身。モデルとしてキャリアをスタートし、雑誌やCM、ショーで活躍する。2019年から俳優業へも挑戦を始め、オーディションを経て主演に抜擢された今泉力哉監督『猫は逃げた』(21)で注目を浴びる。2024年公開作では、蘇鈺淳監督『走れない人の走り方』(23)、こささりょうま監督『ココでのはなし』、磯部鉄平監督『夜のまにまに』で主演を務めた。

1999年8月27日生まれ、ベトナム・ホーチミン出身。2019年、留学のため来日。専門学校を卒業し介護福祉士として働くかたわら、ベトナム映画のナレーション等に参加する。演技未経験ながら、本作で映画初出演。キーパーソンとなるアン役を見事に演じ切った。

1983年、静岡県生まれ。東京造形大学在学中に制作した初長編映画『夜来風雨の声』(08)が、シネマ・デジタル・ソウル2008にて韓国批評家賞を受賞。その後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻の修了作品『息を殺して』(14)が第67回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門に正式出品され、高い評価を得る。日仏合作でダミアン・マニヴェルとの共同監督作『泳ぎすぎた夜』(17)は第74回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門、第65回サン・セバスチャン国際映画祭など     国内外の映画祭に正式出品され、日本やフランスをはじめ各国で上映された。『SUPER HAPPY FOREVER』の基となった短編映画『水魚之交』は2023年、第71回サン・セバスチャン国際映画祭でプレミア上映されている。

*50音順・順不同

何かはFOREVERであってほしい、身近にあるものなら海は、永遠に近いところにはあるかもしれない、水はずっと循環していて。
映画の中で海は何度も映る、みんな海を眺める、彼らは、私たちはこんなにも永遠に囲まれてはあるのだと、私は明るく考える。

—井戸川射子(詩人/小説家)

失くしたものは、むしろ記憶の中に強く留まり続けること。諸行無常でも、その瞬間は確実にそこにあったということ。「カップラーメンでこんなに幸せになれるんだったら、永遠にずっとめちゃくちゃ幸せでいられる」そんな凪の何気ない一言で心当たりを探りあてる、示唆に富んだ鮮烈な鑑賞体験だった。

—奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ

それは、そのとき、その場所で、偶然が重なることでしか生起しなかった。
ついにこの語を迷いなく使うときがきた。これは真の傑作だ。

—須藤健太郎(映画批評家)

結局起こらなかった奇跡を待っていた時間のことを、ひとはうまく覚えていられない。 この映画はそんな時間を映している。絶望ではない、とても優しいやり方で。

—滝口悠生(小説家)

不穏な男に慄き、男の突破な行動が生む気まずさに笑わされ、チャーミングな恋愛の始まりに頬を緩ませたのち、巡り巡って喪失の切なさに落涙しました。五十嵐耕平監督が描いたあの世のような伊豆の美しさが忘れられません。

—鳥居真道(ミュージシャン/ライター)

それが偶然と気づかずに、わたしたちは日々生きているのかもしれない。
切なくも軽やかで不思議な引力をもつこの映画にすっかり魅了された。

—早川千絵(映画監督)

宗教のように大きなストーリーを受け入れずとも、ごく個人的な物語や、偶然への信仰と執着、その強さが護符を生み出し、ときに他人の支えとなることもある。
ちょうど本作とそれを観た観客との関係のように。

—堀部篤史(誠光社)

タイトルの響きよりももっと馬鹿馬鹿しく、格好良く、儚く、しかもこんなに恋や愛を感じるなんて。
なんの変哲もない時間にみえて、「ああ…!」と思わず言葉を失うようなアクションから目を離せずにいると、ある瞬間、とてつもない多幸感と喪失感に同時に不意打ちされる。夜更けまで遊んだり早起きして海を見に行きたくなるような、他に二つとない傑作!

—三宅唱(映画監督)

夜の気流にスーッと吸い込まれていく二人の背中に涙する。あの夜の空気は一体どんな表情をしていただろうか?喪失のヴァカンス。この映画に吹く潮風は、忘れかけていた懐かしい夜の表情を思い出させてくれる。

ー宮代大嗣(映画批評)

奇跡が起こりうると信じられれば、人はほんのわずかでも前を向いて生きていけるのかもしれない。
永遠の幸福などない。でもきっとどこかには存在している、そう信じられれば。

—門間雄介(ライター/編集者)

軽やかで詩的で、胸が痛くなるほどロマンティック。
息苦しい前半から爽やかで希望に満ちた後半へと、
翳りのある美しさに変化していく。

—Awards Daily

「恋に落ちる」という神秘的な経験を讃美する、
シンプルでいて感動的なドラマだ。

—International Cinephile Society

この映画の素晴らしい構造と俳優たちの演技は、
「愛と喪失の本質」へと自然に私たちを導いてくれる。

—In Review Online

周到に設計された物語は、映画が進むにつれて少しずつ解き明かされる。
その先に、私たちの心を打つ驚くべき感動が待っている。

—The Asian Cut

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